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冷却塔の水量計算 — 補給水・蒸発量・排水を数式で算出

冷却塔の水量管理は、設備の安定稼働・水質管理・節水計画の基礎です。本ガイドでは、循環流量・温度差・比熱・蒸発潜熱から蒸発量を見積もり、濃縮倍数(CoC)でブロー量と補給水量を算定します。最終的な機器・水処理・衛生判断はプロジェクト資料で確認してください。

1. 冷却塔の水量バランスの基本式

冷却塔の水量バランスは次の等式で表されます。

補給水量 M = 蒸発量 E + 排水量 B + 飛散損失 D + その他損失

定常状態では補給水量 = 損失合計が成立します。各成分の算定方法を以下に示します。

2. 蒸発量の計算

冷却塔では蒸発が主要な水分損失になります。本ページは除熱量を蒸発潜熱で割る透明な初期推定です。実際の空気側伝熱、顕熱、機器性能はメーカー資料とプロジェクト条件で確認してください。

E(kg/s)= Q(kW)/ L(kJ/kg)= Q / 2,442(初期推定)

循環流量と温度差から除熱量を求める場合は、比熱と蒸発潜熱を明示します。

Q(kW)= W(m³/h)× 1000 / 3600 × cp × ΔT

E(m³/h)= Q × 3600 / (蒸発潜熱 × 1000)

このページの例では cp=4.187 kJ/kg·K、蒸発潜熱=2440 kJ/kg を仮定します。固定の割合式は、適用範囲が確認できない場合の既定値にしません。

循環水量(L/min) 冷却温度差(℃) 蒸発量(L/min) 蒸発量(m³/h)
50054.290.257
1,00058.580.515
2,000517.171.030
1,000712.000.720
3,000525.751.545

3. 濃縮倍数(CoC)と排水量

蒸発によって水は失われても溶解成分は残るため、循環水が徐々に濃縮されます。この濃縮の程度を表す指標が濃縮倍数(CoC:Cycles of Concentration)です。

CoC = 循環水の電気伝導度 / 補給水の電気伝導度

排水量Bは目標CoCを維持するために必要な最小排水量で、次式で求めます。

B(L/min)= (E + D) / (CoC − 1)(飄水Dも溶解物を運ぶとみなす場合)

目標CoC E=8.58 L/min、D=0の場合の排水量(L/min) 節水効果(CoC=2比較)
28.58基準
34.2950%節水
42.8667%節水
52.1575%節水
61.7280%節水

一般的な目標CoCは3〜5です。CoCを高くすれば節水効果は大きくなりますが、スケール(炭酸カルシウム・シリカ)や腐食リスクが高まるため、補給水の水質分析に基づいてLangelier指数やRyznar指数で評価した上で上限を設定します。

4. 飛散損失(キャリーオーバー・ドリフト)

冷却塔からは微細な水滴が気流に乗って飛散します(ドリフト損失)。現代の充填材型冷却塔では、ドリフトエリミネーター(飛散防止板)により飛散量を大幅に低減しています。

冷却塔タイプ ドリフト率(循環水量比)
旧型(スプレー式)0.5〜1.0%
充填材型(標準エリミネーター)0.05〜0.2%
充填材型(高効率エリミネーター)0.001〜0.005%

レジオネラ菌対策が求められる用途では、高効率エリミネーター(ドリフト率0.001%以下)の採用が推奨されます(厚生労働省通知、ASHRAE Guideline 12-2020)。

5. 補給水量の総合計算例

条件:循環水量2,000 L/min、冷却温度差5℃、目標CoC = 4、充填材型(標準エリミネーター、ドリフト率0.1%)

年間稼働時間を3,000時間とすると、年間補給水量は約4,590 m³です。料金や排水費用は地域とプロジェクト条件が必要なので、この一般例から推定しません。

6. 冷却塔容量(RT)の計算

冷却塔の選定容量は冷凍機の冷房能力とCOPから求めます。

冷却塔熱負荷(kW)= 冷房能力(kW)× (1 + 1/COP)

例:冷房能力350kW、COP = 5.5の場合、冷却塔熱負荷 = 350 × (1 + 1/5.5) = 350 × 1.182 = 413.6 kW。JIS規格の冷却塔RT(1RT = 3.9kW)換算では 413.6/3.9 ≈ 106 RT の冷却塔が必要です。

7. よくある設計ミス

ミス1:蒸発量を過小評価してポンプを小さく選ぶ — 補給水配管とポンプのサイズを蒸発量だけで計算し、排水量とドリフト損失を無視すると補給水不足になります。必ず3成分の合計で設計します。

ミス2:CoC管理なしの連続排水(垂れ流し) — 排水を常時一定量流して水質管理を省略すると、節水できず水道コストが2〜3倍になります。電気伝導度センサーによる自動CoC制御が省エネ・節水の両面で有効です。

ミス3:シーズンオフの滞留水を放置 — 使用停止時に水を抜かないと夏季の再起動時にレジオネラ菌が繁殖した状態で運転開始するリスクがあります。シーズン終了時には完全排水・清掃を行います。

8. FAQ

Q1: 冷却塔の蒸発量はどのくらいですか?
A1: まず除熱量 Q = W × 1000/3600 × cp × ΔT を求め、E = Q × 3600/(蒸発潜熱 × 1000) で見積もります。循環水量1,000L/min、温度差5℃では、本ページの既定値で約8.58 L/minです。

Q2: 濃縮倍数(CoC)とは何ですか?どう管理しますか?
A2: CoCは循環水中の溶解成分が補給水の何倍に濃縮されているかを示す指標です。飄水を含める場合は B=(E+D)/(CoC−1) とし、水質・設備条件で上限を決めます。

Q3: 冷却塔の補給水量の計算式を教えてください。
A3: 補給水量 M = E + B + D です。E と D を使い、B=(E+D)/(CoC−1) として計算します。

Q4: レジオネラ菌対策はどのようにすればよいですか?
A4: 定期的な高温洗浄または薬剤殺菌、定期清掃(年1〜2回)、シーズンオフの完全排水が基本です。厚生労働省の「レジオネラ症防止指針」に従った管理計画書の作成・運用が求められます。

Q5: 冷却塔の選定容量(RT)はどのように計算しますか?
A5: 冷却塔熱負荷 = 冷房能力 × (1 + 1/COP)で求め、JIS規格の1RT = 3.9kWで換算します。COP = 5.5、冷房能力350kWの場合、約106 RTの冷却塔が必要です。

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